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本では、マレーシアのことがあまり知られていません。これは、マレーシアには内乱・暴動や日本人が巻き込まれる事件・事故がほとんどなく、日本の一般のニュースでほとんど取り上げられないためです。ただし、日本とマレーシアの関係は決して薄いわけではありません。観光客や修学旅行生のような短期訪問者も、留学生、企業駐在員、定年後のシニア市民のように各世代にわたる長期滞在者も、毎年多くの日本人がマレーシアを訪問しています。
レーシア社会は、いろいろな意味で日本社会と対照的です。気候や衣食住、多民族社会であることも大きく違います。大きな違いはマレーシアを訪れればすぐに気づくでしょうが、さらにマレーシア社会を見慣れてくると、社会における宗教の影響力や、学校や職場での上司や同僚との関係など、社会のあり方についても日本と違うことが見えてくるでしょう。
般に、人は、異文化に出会ったとき、自分が馴染んでいる社会との違いに目が向きがちになります。確かに違いを見つけることは大切ですが、違いばかり強調すると共通性に目が向かなくなります。マレーシア社会は多民族・多宗教・多言語が混在するユニークな社会で、そのため日本社会では見られない変わったこともたくさん見られますが、同時に、高齢化、外国人移民、都市と地方の格差、教育と受験など、日本や他の社会と似たような課題にも取り組んでいます。

「マレー映画の父」と称されたP.ラムリーの死後、マレーシアで制作される映画はマレー語によるマレー人のための映画ばかりとなりました。マレーシア社会の現実を反映させて多民族性や多言語性を積極的に盛り込むと、「マレーシア映画ではない」と判断されてマレーシア国内で上映の機会が与えられないこともありました。​

れに対して、西暦2000年頃から「マレーシア映画の新潮流」と呼ばれる若手の映画監督が多く活躍するようになりました。新潮流に属する監督たちに共通しているのは、はじめからマレーシア国内の市場を期待せずに映画を制作したことです。自分たちの関心に沿った映画を作れば「マレーシア映画ではない」と言われてマレーシアで上映されないかもしれないし、もし上映されたとしても十分な観客数が期待できないためです。彼らの作品はしばしば外国の映画祭に出品されました。そのため、たとえ監督の個人的な経験やマレーシア社会に特有のできごとが素材にされていたとしても、マレーシアという固有の土地に由来する課題は脱色されて人類普遍の課題として表現され、世界の人びとが観てわかるような形で映画が作られました。

のように、マレーシア新潮流作品は、マレーシアのことを知らなくても内容を十分に理解して楽しむことができるように作られています。その上で、マレーシア社会について理解した上で映画を読み解くことにより、マレーシア社会が抱える課題とそれへの取り組みを浮き上がらせることができます。これは、いわばマレーシア人の目をもってマレーシア映画を観るということです。この研究会では、そのように映画を読み解くことで、人類社会の普遍的な課題として描かれた課題が現実のマレーシア社会ではどのような形で表れているのかを明らかにすることを試みます。このことが私たちの考える映画の「おもしろさ」だと思うためです。​

界各地の文化が集まるマレーシア社会を理解するには、中国世界、インド世界、イスラム世界をはじめとする世界各地のことを知る必要があります。「マレーシアがわかれば世界がわかる」を合い言葉に、マレーシアと直接・間接に関係のある各地域・各分野の専門家が集まってマレーシア映画から世界を読み解こうとするのがこの研究会です。

都大学地域研究統合情報センターでは、地域研究の研究情報を収集・整理する事業の1つとして、いくつかの国や地域の映画データベースを作成しています。その1つが、マレーシア映画データベースです。​

た同センターには、1930年代から現在までにマレーシアで制作された約900本の劇映画のうち、約92%がビデオCD(VCD)あるいはDVDの形で所蔵されています。このコレクションには、マレーシアで劇場公開された長編劇映画のほか、短編映画、マレーシア国内で上映禁止となった作品、マレーシアで制作されたタミル語映画、サバ州で制作されたテレムービーなども含まれています。同センターでは、所蔵されている劇映画の登録作業を行っており、登録作業が済んだものから利用できるような体制を整えています。

研究会は、これらのデータベースやコレクションを活用して研究を行っています。

マレーシア社会

マレーシア映画

京都大学の

マレーシア映画コレクション​

〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46
京都大学地域研究統合情報センター 山本博之研究室

マレーシア映画文化研究会

Research on Film & Society of Malaysia
 代表:山本博之(京都大学)
 幹事:篠崎香織(北九州市立大学)

電話:075-753-9613(水・金曜 10:00-16:00 担当:引地)

Eメール:malaysianfilm [at] cias.kyoto-u.ac.jp

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